COMITIA112参加いたします!

こんばんは、未来定規平構成員のほろろんと申します。

これから度々このブログの更新をしていきたいと思いますのでどうぞよろしくお願いします



さて、この度COMITIA112に受かりまして、来る5月5日、東京ビックサイトこ35aにおいてゲームと雑誌の頒布を予定しております。

頒布予定物は以下の作品です。

【新刊】

・ChaosWorld 〜New Generation Beginning〜

(パッケージイラスト未完成!)

G&Tの代表作、『ChaosWorld』の新作です。現在鋭意製作中!

【既刊】

・未来定規個人制作パック

『WonderfulWorld(れーや作・横スクロールSTG)』と『ChaosWorld〜future of hopes〜(G & T作・縦スクロール弾幕STG)』の二つのゲームが入っています。

・WonderfulWorldMagazine Vol.1

れーや作のSTG、『WonderfulWorld』のスピンオフ作品、『WonderfulWorld新章(漫画)』と『Wonderful World ――RELIGION――(小説)』が掲載されております。



現在頒布が予定されている作品は以上になります。価格など詳しい事項は決定次第追って発表いたしますのでよろしくお願いたします。

皆様のご来場心待ちにしております。

GF小隊誕生! 03

 薄暗い研究所。その中で大きな液晶モニタと睨みっこしてデータを弄り続ける銀髪ショートのメガネ幼女……否、女性。
 ココノ=シュタイン。人工知能の開発者の一人にして、今では一兵士である。もっとも、彼女の態度は見た目相応に悪いため、その功績がなければ軍を追い出されているだろうが。
 恋人のように見つめる画面に映っているのは、彼女本人が映っている戦闘シミュレーションの映像と、【GFシステム】搭載のプロトタイプ【Shining】のデータ。
「結果は変わらない、か……」
 【Shining】を装備した彼女は、天下無双の戦天使。……と揶揄されるほどの功績をあげた。だが彼女はそれを誇りもせずに、自分の戦闘を元に敵のデータを構築、それらを相手に仮想戦闘を行っている。
(全く、博士もムスッとしてないで素直に喜べばいいのに。大体博士は女子力低すぎですよ、毎日毎日研究と開発とシミュレーションの繰り返し。飽きませんか、飽きないでしょうね!だって博士は私よりも機械の方が大事なのですから)
「……ミナト、気づいてないなら言わせてもらうが、さっきから思考音声が駄々漏れだ。人工知能としてはかなり致命的な欠陥ではないか。あと愛とか言うな。私の性別は仮にも女だ」
「しまった、私としたことが!」
(ついつい博士のかわいさのあまり、思考回路の音声スイッチを切り忘れていました! ああ、なんて罪なことをしてしまったのでしょう!)
 と、そこまで考えてから私は思考回路の音声スイッチを切る。
 彼女は私には目もくれず、ひたすら液晶を見つめ、マウスを動かし、キーボードを打ち続ける。
「それより博士、そんなAIで大丈夫ですか? 仮にも博士の命を預かる機械ですよ? なんなら私が操作しても……」
「【迅龍】を動かしているお前を私が個人で利用したら、上がうるさいだろう。こちらの出力を下げ、敵の数を増やして動かしてみたが、今のままのAIでも問題ないよ」
「ならいいんですけど……」
「まだ私の腕は衰えてないぞ。これを動かすためのAIくらいなら一日で組める」
「速攻で組んだAIだから心配なんですよう……」
「あまり心配するな。なに、大丈夫だよ」
 そう言うと、ミナトの頭を優しく撫でる。
「ふあ……」
 普段から、撫でられると逆らえない。小言を挟むのを止め、ミナトは撫でられる頭の感触を堪能する。
 ココノ=シュタインとは、自らのことを二の次三の次にまわし、一にまわすのは人工知能のことばかりの人間だ。
 そんな彼女が自分を守るためのAIを重視してるとは思えない。
 ……それが例え、自分の命に関わることであっても。
 心配するミナトを放っておきつつ、ココノはデータを保存、PCをスリープモードにした。
「さて、私はそろそろ寝るよ。次の出撃に備えてな」
 ココノは椅子を立つと、研究のための様々な本が散らかっているベッドに身を投げる。
「はい。おやすみなさい、博士」
 ココノが寝床についたので、ミナトが研究室から出ようとした時だった。
 研究所だけでない、軍全体に鳴るサイレンの音。
 ――敵襲だ!
「全く、人の睡眠を邪魔して……」
「ブリーフィングルームへ向かいましょう!」

 ブリーフィングルーム。名の通り、作戦前の打ち合わせを行う所だ。
 部屋の最奥の大きなモニタには近海の地図のレーダーマップが映されている。
「このマップを見てもらえば分かる通り……」
 軍の作戦司令官が地図を見上げると、敵の出現位置に赤のアイコンが現れる。
「今回は敵の数がやや多い。全く、これだけの数をどこに用意しているんだか……」
「母艦がどこかに潜んでいる可能性は?」
 話がずれようとした途端、ココノが質問でその先を遮る。
「ありうるが、また発見には至っていない。よって諸君らには各編隊を追撃後、敵の母艦を探索してもらう。毎日毎日襲撃されては、こちらの気力が保たない。
 だがまず諸君らには、この編隊を相手にしてもらう。決して陸に入れるなよ。向かってもらう場所だが……」
 その先を聞き、ココノは驚愕する。
「待て、私は一人か」
「貴様一人ではなくココノ小隊、と言ったはずだが。……まあ、変わらんか。だが前回の功績を見れば、この大役は当然だろう。貴様一人で我が小隊一つを相手に出来るということだ」
 そうきたか。確かに【GFシステム】なら4,5小隊くらいは楽に相手に出来るだろう。だがそれはすぐ近くに母艦がある場合だ。先日の例では【迅龍】。こちとら生身の体であるため、疲労が生じてしまう可能性だけはどうしても排除出来ない。
「……了解、すぐに出る」
 ならば速攻で排除して即時帰還すればいいだけのことだとココノは思い直し、ブリーフィングルームを後にした。
 ミナトが何か言いたげにこちらを見ていたが、ミナトはすぐに【迅龍】の元へ連れて行かれた。

 滑走路前の倉庫。【GFシステム】搭載の試作機、【Shining】はそこにあった。
 ココノが歩いて行くと、【Shining】に光が灯される。機械の翼と揶揄される通り、鋼鉄でコーティングされた翼。
「この前は出撃の挨拶もままならなかったからな。……知ってると思うが、私はココノ=シュタイン。お前の製作者だ」
 【Shining】には簡易AIしか詰まれていない。もちろん、人の言葉など理解できないだろう。
 だがそれでも挨拶をせずにいられないのは、自分の作った作品……子であるからだ。
「これからしばらく世話になるぞ、【Shining】。何せ私は、お前に命を預けなくちゃならない」
 ココノを既に認識している【Shining】は頷くように輝いた。ココノが【Shining】に背中を預けると、自動で【Shining】がココノに装着されていく。
 【Shining】が完全に装着されると、ココノはすうっと深呼吸をした。【GFシステム】が作動し、ココノ自身と周りのオプションが浮かび上がる。
 倉庫の扉が完全に開かれると、その眼前は滑走路。
 前回は【迅龍】の上からだったので、離陸が楽だった。今回は地上から出なくてはならない。
 大空を前に、自分の装備を確認する。
 オプション、よし。大型ライフル、よし。
 再び深呼吸。気合を入れる。
「よし、行くぞ相棒!」
 空へ向かって、長い滑走路を"飛翔"する。
 ココノは少しずつ高度を上げて離陸。
 そして大空へと飛び立ったのだった。
 ――”戦場”と言う名の大空へと。

GF小隊誕生! 02

『隊長! 3番機が撃墜されました!』
 空、太平洋。1機ずつ見れば戦闘機の性能は日本が勝っているのだが、相手の数が多すぎた。
『なんて数だ! 早く撤退しろ!!』
『出来たらやっていますよ!』
 前衛の部隊は、最初は押していたものの、敵側の援軍により前衛部隊の陣形は崩壊。
 1機、また1機と墜とされ、残っているのはたったの数機になってしまったのだ。
『まだ、まだだ――【迅龍】の到着まで持ちこたえろ! 何としてでも生き残るぞ!!!』
『はい!!』
 隊長機が大きく旋回して誘導し、追う敵機を仲間が撃ち落とす。その連携は見事なものだったが、それでは戦局は変わらない。
 隊長機の右翼に、敵の小型ミサイルが命中した。
『ぐ……くそっ!!』
 隊長機の装甲ゆえに撃墜こそされないものの、飛ぶのがやっとというところだった。
 敵機の1つが、隊長機に狙いを定めた。隊長機の損傷では避けることは出来ない。
『隊長ーっ!!!』
 隊長機を撃ち落とそうとしていた敵機を、仲間の1機がなんとか撃ち落とした。
 助かったものの、気づけば敵機に囲まれていた。文字通り前後上下左右、全ての場所に敵機がいる。隊長機を助けた友軍機はギリギリ離脱出来るが、飛ぶのがやっとの隊長機にこれらを全機を振り払って突破するのは不可能だ。
『これは……死んだか』
 逃げ場を失った隊長機に襲いかかる弾幕。観念し、避ける動作すら出来ないまま、隊長は目をつぶる。
 刹那。
 隊長機を囲むように撃たれたミサイルが、全て空中で撃ち落された。
『な、なんだ!?』
「……こちら、ココノ=シュタイン。敵軍の襲撃により【迅龍】の到着が遅れているので、【迅龍】に代わって前衛部隊の援軍に来た」
 隊長が見たのは、機械の羽根を背から生やしている一人の少女。着ている服は特殊な衣装ではなくただの白衣だったが、間一髪の所で命を救われた隊長には、機械の翼を広げて大空を飛翔するココノが、まるで一人の天使のように見えた。
 機械仕掛けの天使が小回りを効かせて隊長機のまわりを一周すると、そこに手のひらサイズのオプションが配置された。それは例えるなら、天使の羽根。羽根は空中を舞ったかと思うと、その大きさからは想像できない大きさのレーザーを出し、敵機を撃ち落とした。貫通して更に撃破されたものもある。
『な、なあ、天使さんよ! 頼む、仲間たちも助けてくれないか!!』
「……天使? まあいい、分かった」
 天使だなどと揶揄されては、照れずにはいられまい。それはこの天才科学者ココノ=シュタインとて同じ事だった。
 ココノは爆発音から友軍機の場所を探し、次へ向かい、敵機を撃ち落としては移動を繰り返した。
 的が小さいことを生かしてくるくると動きまわるココノに、敵の機体は弾を当てることすら出来ずに次々と撃ち落されていく。もっとも、当てられたところでオプションがガードするのだが。
 敵機の全機撃破を確認してから、ココノは旗艦――【迅龍】へと滑空しながら戻っていくのだった。

「博士ーっ!!!」
 どがーんごろごろ。
 ダッシュからココノに抱きつこうとしたその少女だが、ココノに見事に避けられ、【迅龍】の廊下を見事に2回転した。
「お疲れ、ミナト。【迅龍】の操作も楽じゃないだろう」
 ミナト=ハイドレンジェ。少しパーマのかかった黒髪を上で束ねてポニーテールにしているこの少女は、【人工知能開発班】製作の人工知能だ。彼女の開発にはココノも携わっている。
 彼女は昔ココノの助手をしていたことがあって、その名残だろうか、ココノが【人工知能開発班】を抜けてからも白衣を愛用している。
「あ、あいたた……もー、避けるなんて酷いですよ博士……」
 どうやら精神の制作過程で時に誤動作を起こしたようで、意識が宿ってから最初に見たココノをとても慕っていて、ココノは感情の修正を提案したのだが頑なに拒否され、結局今に至るまでそのまま放置されている。
 彼女の特徴はその圧倒的な演算能力だ。超大型侵略指揮戦艦【迅龍】を制御してるのは実質彼女で、その武装管理から砲撃制御、操舵まで一人でこなしている。本気を出せば日本の軍の乗っ取りだって夢ではない……かもしれない。
「はい博士! むしろ博士の方こそお疲れ様でした!」
 むくりと起き上がってココノに顔を近づける。普段通りのミナトとはいえ、ココノもたじたじである。
「それにしても博士が天使、天使だなんて! あの隊長、よくわかってらっしゃる! 後で語り合わないとこのミナト、博士好きとしての名が泣いてしまいます! ああ! 趣味が共有出来るこの快感を! 人工知能たる私も味わうことが出来るとは!!」
「どうだ、状況は」
 身を捩らせて妄想に浸るミナトを無視して話しかけるココノ。
 ミナトは何か言いたげにココノに視線を送ってから、白衣の汚れを払い、こほんと小さく咳をしてから姿勢を正す。
「はい、さすが博士です。【GFシステム】の操作は完璧と言っていいでしょう。これだけの戦果を上げておけば軍の上部も【GFシステム】を受け入れざるを得ないでしょう。ただ、軍が想像していたであろう事態からは少しズレることになりますが」
 軍がココノに小隊の創設を依頼し、ココノに戦闘を強いたのは、おそらくココノ自身に戦わせるためではなく、ココノの持つ頭脳と知識を用いて作られる人工知能による戦果を期待してのことだったろう。そうでなければ一科学者でしかないココノに小隊を作らせる意味は無い。つまり軍が期待していた小隊とは、ココノをリーダーとして人工知能の兵隊を集めた部隊を作ることだったと推測できる。
「なに、過程は違えど結果は同じだろう。軍が最終的に求めているのは人工知能そのものではなく、人工知能を用いることで得られる勝利だ。……だが私はお前たち人工知能を量産したりなどしない」
「ありがとうございます、博士。けど、無理はしないで下さいね」
 そう言うと、ミナトはココノを抱き上げた。
 いわゆるところのお姫様抱っこ。
 人工の皮膚と筋肉によって出来ている人工知能の力が、ココノの体重を支える
「んな、おいミナト、降ろせ!」
「ダメですよ、博士。博士の体力はもう限界です。人工知能で博士好きのこの私が気付いてないとでも思いました?」
「う……」
「というわけで休憩して下さい。休憩するべきです。休憩しないとダメなんです!」
 お姫様抱っこのまま【迅龍】の廊下を進み、休憩室へと向かうミナト。
 両手でしっかりと全身をホールドされてしまっているココノは抜け出すことが出来ず、暴れる体力もない。
「わ、分かったから降ろせ……これは少し……恥ずかしい……誰かに見られでもしたら……」
 ココノは長い前髪で顔を隠し、羞恥の中でどうにか声を絞り出している。
「ふふ、恥ずかしがる博士も可愛いですが、もうすぐ休憩室です」
「……んっ」
 ミナトはココノをゆっくりと廊下に下ろした。
「休憩室には他の兵士もいると思うので、私はこの辺で」
 ココノが休憩室の扉を開けて中に入ろうとするのを確認してから、ミナトは軽く手を振り、その場を去った。
 全く、人をいいようにからかって。人をからかうことをミナトに教えたのは誰だ……とぶつくさ呟きながら、ココノは休憩室に入っていく。

 次の瞬間、ココノは糸が切れたように休憩室の1つのベッドに崩れ落ちた。
 ――これは結構、きつい、な……。
 【GFシステム】による戦闘は思いも寄らないほどに体力を消耗した。衝撃は【GFシステム】が全て吸収してくれるものの、足元に支えるものがないため長時間自分の体を機械に預けなければならないという身体的苦痛、最前線で戦うためいつどこから敵が来るかわからないという精神的苦痛。空に投げ出されるというのは、あまり気持ちの良いものではなかった。
 ココノは訓練を受けた軍人ではない。だが、【GFシステム】を扱うには軍での訓練とは別の専用知識が必要で、今のところココノ以外に扱える者はいない。
 ――今回の功績を盾にして、国に金と人材をせびることにしよう。ダメならダメで、何度か行えばいい。
 ココノの意識がついに限界を迎える。目は自然に閉じられ、ココノは襲い来る睡魔に身を委ねた。

GF小隊誕生! 01

「新部隊の創設だと?」
 この研究室の主人――白衣の研究者は、渡された書類を見てから、それを渡してきた軍の役員に訝しげな視線を送った。
「ええ、もちろん新部隊の創設に当たって、こちらも協力を惜しみませんよ、ココノ=シュタイン中尉?」
 ココノ=シュタイン。女性というにはいささか身長が低く、場合によっては少女、小学生と揶揄されても仕方ない。
 銀色の短い髪と常に着ている白衣、そしてその小さな身長が特徴のココノだが、彼女は多くの人工知能の開発に携わっている研究者だ。
 人工知能には、人工的に作られた人間の体を用いたロボットとしての人工知能と、機械のプログラムでしかないデータとしての人工知能がある。人工知能はどちらも行き来することが可能だが、少しのラグが致命的になる戦場においては、前者が主として戦闘をすることが多い。
 開発者であるココノ自身はそれを快く思ってはいないのだが、軍の人間たちはココノに人工知能を作らせたがっているのだった。
 ココノは、ニコニコと営業スマイルを浮かべる役員を睨みつつも、説明を促す。
「なに、簡単な話ですよ。我々軍の上層部は、どこの部隊にも所属していない軍人を野放しにしておきたくはないのです」
「個人ではなく小隊なら、軍も好きに命令を下せるからな。よく考えたものだ。だが形だけ気取っても人数が私ひとりだけでは、私を動かす機会は無いだろう」
 女性らしからぬその口調で反論するココノは、役員を睨みつけると同時に書類を突き返す。
 一方で役員は手を後ろで組んだまま、突き返された書類を手に取ろうとはしなかった。
「ええ、それはもちろん。ですから中尉には、隊員を集める義務がある。我々が勝手に隊員を選んだのでは、中尉は不満でしょうからね。自分で隊員を集めて下さい。また、隊長となることで中尉も昇進出来ますよ」
「……それ相応の協力はしてもらえるんだろうな」
「詳しくは書類の中に目を通して下さい」
 言われ、一度は差し出そうとした書類を見ざるを得なくなってしまったココノ。はねのけてやりたいところだったし、それによって自分が軍を追い出されることにも抵抗はなかったが、それによって取り残される者たちへの思いがそうはさせなかった。
「私達も、あなたが抱える莫大な戦力を味方に付けるため必死なのです。だから協力していただけませんか、元【人工知能開発班】の主力メンバー、ココノ=シュタイン中尉。あなたが【人工知能開発班】を抜けてしまったおかげで、我々は大した人工知能を作ることも出来ず、戦局も未だに挽回には至らない。せっかくの軍の切り札がこれでは台無しです。【革命軍】の侵略に対して、他国のほとんどが対応できていない現状、人工知能という切り札を持つ日本はこの戦力の大幅増強を求められている。そんなことは分かっているのでしょう、中尉」
「……お前たちは」
 黙って話を聞いていたココノが、口を開く。
「私の『子供たち』が死んでいくのを、何とも思わない。むしろ使い捨ての消耗品としか考えていない。人と同じ姿を持ち、人と同じ考えをし、人と同じ生活が出来るというのに、軍はそれをさせない。社会どころか、機械の中の歯車として閉じ込めようとする。現代の科学において、人工知能はクローン技術以外では唯一の人が人を作る手段だ。生み出されるものが人である以上、それを消耗品として扱うことは道徳的に許されるものではない」
「幾度と無く繰り返した議論ですね。あなたの作る『兵器の数々』は戦況を打開する力があり、そうしなければ多くの人の生命が失われるかもしれないというのに、何故それを有効利用しようとしないのですか。アレは人の皮を被った、」
「出て行け」
 ――やはり、話が噛み合わない。
 話を遮られた役員は嘆息し、部屋のドアに手をかける。
人工知能は、軍の外では生きられませんよ」
 吐き捨てるように言い残した後、役員は反論を待たずに研究室を出た。
「……そんなことは分かっているさ。だからせめて人工知能を軍人として扱ってくれないかと頼んでいるのに、お前たちはあくまで自律行動兵器としてしか見ないんじゃないか……」
 既にドアの向こうに去った役員に言い聞かせるつもりはない、ただの独り言、愚痴だった。
 気になったわけではないが、一応軍人の端くれとして命令に背くわけにもいかず(といっても、勝手な行動は山ほどしてきているのだが)書類に目を通してみると、確かにそこには兵器を開発するにあたっての莫大な開発費の援助や、小隊のメンバーが寝泊まりする施設を軍の宿舎とは別に増設したりなど、様々なことが書いてあった。
 ――だが、私の部隊で人工知能<私の子供>達は戦わせられない。仮に戦場に出ることになったとしても、決して落とさせてはならない。
 ならば、おそらく軍の意向とは違うだろうが、ようは人工知能と同レベルの成果を出せれば良い。人工知能の優位性は小回りと判断力だ。ならば試作段階であるが、『アレ』を使うしかない。
 ココノは席を立ち、第一開発室へ向かう。第一開発室は、兵器の開発を主とする部屋だ。
 ココノが向かった先にある兵器は、機械仕掛けの翼にも似たものだった。彼女の背に対して少し大きい金属質の羽は、第一開発室の兵器群の中で鈍く輝いている。
 それは人が鳥として空を舞い、兵器として敵を撃ち落とすことを可能にする兵器。
 ――開発コード【Grif Flugel】システム。空を飛ぶ、獅子の翼。通称【GF】。その第一号機【Shining】。【GFシステム】の試作機である。
 飛行機能だけならばどこの科学者だって作れるだろうが、そうではない。人を空へと運び、人を守り、敵を撃ち抜くための兵器。
 AIによるオプション制御、大型武器の反動の吸収。
 更に、武器が使用するエネルギーを大量に貯蓄しておく機能もある。これにより、エネルギーの続く限りは弾を撃つことが出来る。
 もっとも、色々盛り込みすぎた結果、開発費が馬鹿にならなくなり、量産は出来なくなってしまった。
 だがこの武装なら、人工知能にも劣らない活躍を見込めるだろう。後は乗る人がいれば……。
 サイレンの音が鳴り響いた。
 ――ちょうどいい。まだ試作段階だが、こいつの力を試す時だ。
 ココノは通信で作業員を呼ぶと、【Shining】とその専用武器を運ばせた。

【告知】Greif Flugel小説版 連載開始!!

一年後始動予定のシューティングゲームプロジェクト『Greif Flugel』の小説版が、ゲーム版製作開始に先駆けて未来定規ブログに登場!
描かれるのはGreif Flugel本編が始まる以前のストーリー。多彩なキャラクター達が紡ぎ出す物語がどう織合わさって本編へと繋がっていくことになるのか!?

GreifFlugel小説版の第一期はれーや著『GF小隊誕生!』。なんと今夜、7月3日から毎週火曜夜8時に連載! 一人の天才博士、ココノ=シュタインの苦悩が大きな物語の幕開けとなる!?

皆さん、ぜひお楽しみに!!